制作ノートの終わりにあたり一言書きたいと思う。
今回、曲制作にあたりアジアの音楽を改めて多く聞いた。
一部の地域に根ずくものもあれば、広い地域に同様のものも見られるものもある。
アジア地域には有名な文化の交易路シルクロードがある。
人が物資が文化(音楽も含め)が交易する道となったのがシルクロードである。
東は中国に始まり西はローマまで、その長い道のりを長い時間をかけて交易を
繰り返すうち、文化、音楽も東西のアフロユーラシアの大陸に広がっていく。
一部の地域に限定されるようなスーフィーの音楽も様々な国からの影響を受け
一つの形が出来上がる。 そのどれもが千年単位での話である。

今回5つの文化のカテゴリーを作成して曲を分類したが、
それはあくまで分類上のことだ。
一つの文化が伝播していく中で、長い時間を経て、その土地の風土に馴染むように変化し、
またその変化したものが他地域に伝わっていく。
どの地域にも独特の風土と人間の生活がある。自然が変化するのは万年単位である。
短い期間しか生きられえない人間はその大きな大地の動きを感知できない。
今回の曲作りの作業で見えたものは、長い時間をかけ大地を多くの人間が往来し、
自然の中で作り上げた人間の歴史のようなものが見えてきた。
人間は『万物の霊長』と言われるが、決して人間が選ばれた存在ではなく、
あくまで地球に生きる種の一つ。ということも見えてきた。
現在、1国主義という考え、思想が世界中に見られる。
どの国も1国で成り立つことはありえない。
相互に影響しあい融合、離散を繰り返しながら国が成り立っていくのである。
シルクロードの往来路に見られたように、東と西が往来、交易するうちに
出来上がる文化、それをもう一度見直す時代に今、入ってるのではないだろうか。
それが、地球に生きる種の一つの人間の未来にもつながっている気がする。